「わたしも川中島行きたいよー!」
「百段いねーからなー」
「という不毛な会話、いつもしてるよね!わたし、単車を用意しました!」
「ウヒャハハハハ!やんじゃねーか、ナマエ様!んで、どっちが手綱握んだよ!」
「勿論わたし!長可くんが鎧で乗っても良いように、デカいの選んで来ました!自慢のこの1000cc大型自動二輪…千段に乗るとい…い!?」
「ミシッつったな」
「ミシッて言ったね」
▽
「鎧でバイク乗る長可くん、超イカすと思ったんだけどな」
「ウヒャハハハハ!悪ィな!ま、どっちにしろ交通法違反?なんだろ!諦めて兜だけにしよーや!」
「ああ!兜!その手があった!えー、じゃあカッコいいライダースーツ探しちゃお〜」
「おー、先ナマエ様のヤツな。似合うの見繕ってやるよ」
「えっ!?わたしの!?」
「当たり前だろ。ナマエ様はオレをめかすばっかで、自分の着物買わねーよな。けどよ、オレはアンタが着飾る所が見てえんだわ」
「え、ええ…」
「良いだろ、ナマエ様。オレの好みで物贈っても」
▽
「んー、これはなんか違ェな。ナマエ様は、別に赤って感じじゃねえ」
「そう?わたしは赤も好きだけど。長可くんみたいな色、かわいいよね」
「そう言われんのは悪かねえけど、赤っつうと血の色だろ。血塗れのナマエ様は、まーそんな見てえもんじゃないわな」
(割と満更でもない顔)
「あァ、わかったわ。なんで決められねえのか」
「?」
「どれも良く見えんだわ。ナマエ様が愛いからよ」
はえっ。
▽
「そんで結局、何故ナマエはスカジャンを着とるんじゃ?」
「おう!よく考えたらよ、ナマエ様は事故っても死なねえよな!」
いや、死ぬ時は死ぬ…
「死ぬ時は死ぬと言いたそうな顔しておるが…」
「事故っても死なねーなら、好きな格好で良いだろ?」
「まあ、うん…そうじゃね。バイクっちゅうの、擦り剥かん為に厚着で乗るらしいからな」
「したらよ。ナマエ様が気に入ってるヤツで、オレも気に入ったヤツが良いんじゃねえのって思ってよ」
「ナマエおぬし、スカジャン好きなの?」
「そりゃ、長可くんが着るなら。自分は好んで着ませんが、スカジャンは最高ですよね?
信長さまもよく見てください。元からカッコいいけど、こういう服装してると、尚かっこいい…!」
「まー、確かに!勝蔵はイケメンじゃからのう!言われてみれば、超絶サマになっとるちゅうか…
…おぬしら、センス良いな… わしちょっとジェラシー!」
「ウヒャハハハハ!当たり前だろ、大殿。奥に似合う打ち掛けくらい、選べなくてどうすんだよ。んな甲斐性ねー男、死んだ方がマシだろ!」
「長可くん…!わたしも、いつだってサイコーにかっこいい長可くんの私服を選び続けるからね…!」
「おっ、おお… おお…なんちゅーか… おぬしら、ほんと仲良いネ…」
▽
「前閉めても当然かっこいいけど、開けてもカッコいい… 長可くんがシャツ見せるなら、わたしもシャツを出すべきか!?」
「オレは開けっぱで良いけどよ、ここ雪山じゃねーか。ナマエ様は寒ィだろ。無理すんなって」
「寒いけど、ファッションをバッチリ決める為には利便性をある程度捨てる必要があってね…!」
「ほーん。そういうモンか」
「そう。そういうもの」
「あー、したらよ、」
(抱き寄せられて仕舞われる)
「こうしたら良いんじゃねえの」
「あったかい!かたい!長可くん、でっかい!」
「あったけえだろ!オレでけーからよ!」
「それでね、色々言いたいことあるんだけど」
「おう」
「わたしが入っちゃったら、長可くんのカッコよさが損なわれる」
▽
「まあそういうことだから、気を遣ってくれてありがとう」
「おう」
「あの、だから、もう良いっていうか…」
「おー」
「長可くん…?」
「ナマエ様、そう易々と野郎に…いや女だろうと肌許すなよな。大殿もダメだぜ。抱擁されたら突き飛ばしてブッ殺してオレ呼べよ」
「ブッ殺してから呼ぶんだ…」
「当たり前だろ。ムカつくから刺さねえと溜飲下がらねえ。死んでるヤツが生きてるヤツにちょっかいかけるとか、ありえねーだろ」
(あっ、そこなんだ…という顔)
「そっか… でも、心配しなくて大丈夫。長可くん以外だったらちゃんとブッ殺すよ。生きててもブッ殺すから」
「ほーん。じゃ、いいわ!」
「でも離さないんだ?」
「おー、思ったよりナマエ様があったけーからな。悪くねえな、これ!」
「見た目がバカっぽいのが難点だけどね。マイルームでやろっか、これ」
「オレは何処でも良いけどな!」