loader image

あとがき

増田葉子、正直めっちゃ女に嫌われそうな女やな…って書いてて思ってたんですけど全然好評でビックリしました。

すっげー関係ない話なんですけど、葉子はずっと「~してあげたい」って言ってるんですよね。
あげたい。めっちゃ上から目線。岡田のために~って建前ですけど、本当は只々自分が甘やかしたいだけです。愛と甘やかしを履き違えています。

結局のところ、愛歌さまと一緒で恋に恋するお嬢さんなので、相手のためだと言って自分の理想を押し付けています。愛と言ってるだけの別の何かです。でも当人たちは本気でそれが相手の幸せになると信じているので、止まりません。
恋する女の子にブレーキは無いので、脱線しても進み続けます。薄々アレ…なんか…やばくね?と気付いても止まれません。最終的に葉子は岡田によって運命ごと止められますが、本質的に愛なのはそっち。
 
葉子のは、ただの同情。彼を哀れんで、可哀想がって、“弱い人だから私が守らなきゃ”と酷い思い上がりをしていました。

Q.臆病者はどちらだったの?
A.葉子です。
一見ヨーコはチーターのバケモノに見えますが、恋する女の子は時に強く時に弱いものです。
彼女の場合、岡田が弱い人だと決め付けて、共に立ち向かうことから逃げました。停滞を望みました。本人も分かってます。
本編が「強そうだと思ってた岡田が実は人並みの感性を持つ人だった!でも最後は勇気を出して彼女を救ったぞ!」って話なら、番外編は「現実からめっちゃ逃げてる葉子、最終的に成敗される」って話です。
ありえない筈の、存在してはいけない夏に逃げたんですね。

Q.愛は人を変えるのだ。変わったのはどっち?
A.岡田です。
葉子のために、怖がりながらも命を捨てようとしました。葉子のために、運命を消しました。
岡田はともかく、葉子はもう二度と岡田以蔵を知覚することが出来ません。幾ら世界線を分岐させる化け物でも、大元が無いことが確定すれば以降は存在しないからです。
二度と会えなくても、それを寂しく思っても、彼女を救うと決めました。結局、最終的にヨーコとやってること変わらんやんけと気付いて笑っています。

Q.水泡帰すとも君が為。君って誰?
A.増田岡田、お互いです。

Q.水泡帰すのは誰が為。誰って誰?
A.これは、葉子のためです
二人の間の縁は泡のように儚く無くなってしまいますけど、消えたからこそ増田葉子は死にません。葉子のために、葉子の想いが泡と消えるのです。岡田以蔵のために破滅する未来が無くなります。
岡田はなんだかんだで葉子がしぶといのは分かってるので、別のサーヴァント呼んだり協会駆け込んだりして生き長らえるだろうと思っています。

葉子は最後まで無意識の中で「岡田以蔵が強く有れる筈が無い」と岡田を信頼していませんでしたが、岡田は葉子を信頼しています。
増田葉子はあれでちゃんと魔術師らしい魔術師だったので、魔術師らしく“誰のことも信用してなかった”わけです。ひどい話だ…

上記も以下もめっちゃ蛇足なのであんまり読む必要ないです。
全編通してこういう設定だったよ~くらいに思ってください

Q.結局この話なんだったの?
A.特異点の話です。
魔神柱が逃げ込んできて正史から外れたせいで、岡田以蔵と出会うことになった魔術使いの話。最初っから最後まで増田葉子とかいう女が元凶の箱庭の話です。増田が住んでた街もそう。遡った過去もそう。全部全部歪んだ人類史です。シルバニア愛憎渦巻く梅雨の街で遊んでいただけです。
箱の中では彼女がルール。当人も自覚が無いまま寄生されてるので気付きません。最後は坂本さんに箱をブッ壊されてますけど、箱の中身を入れ替えれば、別の自分のデータをロードすれば、そのことは別の世界の話になります。本筋ではなくなるのです。あっさり死んだのはリセマラする気だからです。不都合になるたび何度も何度も中身を入れ替えます。本人は入れ替えている自覚がありません。ただ、漠然と別の可能性の自分が居たことは分かっています。

この世界という箱があって、それを認識する外界があります。存在証明とかシバとかです。それに見られるまでは、箱の中身、葉子の物語は決まりません。いくつもの可能性が全て同時に存在しているからです。箱の蓋が開けられないことをいいことに、中身を知られないことをいいことに、他人のデータをロードしまくってやりたい放題してるのがこの話です。データを勝手に引き継いだ後は、よくわかんないまま半端データから遊び始めているのです。
CCCイベントの時にキアラがやってたやつの廉価悪質版。コストが低いので必ずどこか失敗します。失敗したので、神引きだろうとリセットせざるを得ません。それを繰り返すので、葉子が引き直しガチャを確定する日は来ないのです。話、トンチキすぎないか?

特異点を外から来た人間が観測すると、出来事は確立します。箱の中身を外から見た瞬間に彼女というシュレディンガーは成立しなくなるので、もう二度と引き直しガチャは使えません。そんな起源を持っていたことすら知覚できなくなります。
だから、葉子と以蔵の縁が切れた瞬間に特異点は無くなりました。戦うことすら要りません。以蔵に出会わなければ、彼女は世界を歪めないのですから。外界の人間が視認した時点で、以蔵に出会わないことが確定したのですから。シュレディンガーのバケモノの話は、それでおしまい。

Q.葉子それ無敵では!?
A.一見無敵に見える可能性のバケモノの死は、可能性が無くなることです。以蔵から始まった物語は、以蔵を失い可能性のバケモノになるという可能性自体が無くなるのです。何言ってんだ?

Q.なんで聖杯は起動したの?
A.箱の起源を覚醒した増田葉子の魂は一人分ではありません。一人分の魂に、無数の葉子がぎゅうぎゅうに詰まっています。葉子という箱は開けるまで中身が確定しないからです。開けない限り、その質量は底無しです。本来そんなに強い起源ではないのですが、特異点の性質と聖杯でブーストされてバケモノになることが可能になってしまいます。
これだけめちゃめちゃな設定してても線をなぞったら人が絶対死ぬとか口にした言葉が絶対になるとか見えたものを捻じ曲げられるし千里眼あるからどこにいても曲げられるとかもっとやべえのいるから型月ってやべえよな!

Q.ククク…オフェリアの二番煎じか?
A.この話のオチっていうか葉子の起源を最初の話書いた段階で決めていたのでクククオフェリア出てきた時アッ……….やべ……….ってなりました。早く書き上げないから後出しジャンケンになるんだぞ。

オフェリアは魔眼で「可能性を見る」未来視です。他者に干渉することも可能です。そして見た事象の発生を先延ばしにすることが出来ます。
その間に「別の可能性」が本筋になれば、現実で起きているのは「見た可能性」ではなくなります。ので未来も変わります。ただし既に起きてしまった事象は取り消せません。

葉子は起源で「可能性を同時に存在させる」能力です。自分にしか使えません。他の可能性を見ることも、知覚することも出来ません。事象が起きた後でも、別の可能性の存在を証明することができます。存在証明すると、証明された方が存在します。するともう片方が消えるのは必然なので、結果的に入れ替わります。無課金ガチャ。リセットマラソン。
そうすると「別の可能性の自分だったもの」が本筋になるので、起きた事象はそもそも無かったことになります(存在はしているけれど、並行世界の別の自分が起こした事象扱いになる)。ので下手をすると根底から別の話になっています。

ただしオフェリアでいうピン留め自体はある(魔神柱が取り付いた時点でスタート)ので、路地に入ることは確定しており、入った時点からリセマラがスタートしています。
小説の1話からです。あそこだけは確定しています…が、当人は知覚できないので何度も何度も同じことを知らないうちに繰り返しているわけです。その過程で本編の話(間に合った増田の未来)、番外編のエクストラの話(間に合わなかった増田の未来)とかに分岐します。CCCにも分岐します。(間に合わなかった増田が更にBBに目を付けられた場合)
 
だけれど岡田を引くのは確定(引き直しガチャ確定枠)しています(特異点を一度なんらかの形で修正するとそもそも路地に入らなくなるので岡田を引くこと自体が無くなる)し、”自分は岡田以蔵を好きになる“と確信があります。だから何度でも未来を引き直します。

ここで「岡田以蔵を好きにならなかった場合」に分岐すると特異点は成立しなくなりますし、「岡田以蔵が葉子を見捨てた場合」に分岐しても特異点は終わるのですが、葉子は必ず岡田を好きになりますし、岡田も葉子を見捨てることはありません。
その点は揺るがないので、別の可能性が干渉してくる余地がありません。固定(オフェリアでいう精神の固定)になっています。

Q.坂本さんは?
A.坂本さんは「増田葉子が無差別に見落としを誘う特性を持っている」ところまでは気付きました。
しかし、やはりあと一歩を見落としてしまいます。番外編のミスリードで呼び出された土佐が特異点なのは認識出来ましたが、元々聖杯戦争を行なっていた街さえも特異点の一部であるとは気付けませんでした。本当に厄介な性質です。

坂本さんは「根本の災厄が葉子だったことを見落とした」のをミスリードだと思っていますが、本当のミスリードは「最初から全部特異点であったのを見落とした」ことです。いつから魔神柱が?もしかしたら最初から?そう思い当たっておきながら、増田葉子を倒したので全て終わりだと勘違いをしています。本当は、それで終わりではないのに。

設定としては2013年に高3の女の子~って思ってるので、以蔵がカルデアに来た年に生きていれば23くらいですね。

恋に恋にして愛に溺れる。愛に溺れて破滅する少女を掬い上げるのは、たったひとりの尊い人。女の献身は全て全てが空回りだったけど、やってきた分の投資はいつか報われます。だけれどそれは救いではなくて、掬いです。拾い上げられるだけ。だって、救われるには罪を重ねすぎたから。
そういう型月の女の子が好きなんすよ…秋葉様とかさ…桜とかさ…BBちゃんとかさ…

増田葉子のモチーフについて
箱と雨ですね。梅雨の曇り空の女!曇天のような髪色に、泣き出しそうな雨色の瞳!降らせるのは血の雨ですけど…
ますたーだ、はこ。マスターだ、増田。サーヴァントの持ち主のマスターでなく、箱の持ち主。箱庭の管理者です。この閉鎖された特異点の持ち主です。シルバニア~鮮血滴る~梅雨の街~(575かな?)

書いた話のさあ…解説さあ…入れるのさあ…ずるいと思うのね…文章内で言えって話ね…でもモヤモヤするかな…って思って置いておきました